業務標準書 — 広告運用

お金を使うことだけ / 判断は予算配分に尽きる

1. 広告とは何か

広告は、お金を使うこと。それだけ。

お金を出す 媒体に払う金額 見てもらう 広告が表示される 登録が出る 個人情報登録数 お金を入れると、登録が出てくる箱 判断すべきは「いくら入れるか」と「割に合っているか」だけ
画像を作る、入稿する、タグを貼る——これらはお金を使うための手段であって、判断ではない。

2. SEOとの違い

どちらも「見てもらう」を買っている。支払うものが違うだけ SEO 時間をかけて買う 記事を書く手間・期間 効果が出るまで数ヶ月 止めても記事は残る 広告 お金で買う 払った額に比例して出る その日から効果が出る 止めた瞬間にゼロになる
広告は払えばすぐ出る。止めればすぐ消える。だから「いくら払うか」の判断が、そのまま結果を決める。
このサンプルについて

広告運用を「お金の判断」中心で標準書にしたもの。ツール名・実際の金額・現在の予算規模は未確認のため仮置き、または空欄にしている。

研修資料の広告23項目は実態との照合が未了(付録に記載)。この標準書では作業項目を判断の中心に置いていないため、照合前でも形として成立する。

What — 何をするか Why — なぜそれをするか 急所 — 守らないと結果が壊れる

業務標準書 AD-01

広告の予算配分を決める

基本情報

業務IDAD-01
頻度日中(通知で監視)/ 日次(集計でペース確認)/ 月次(配分の決め直し)
担当マーケ部 責任者
使う媒体Instagram / LINE / X / TikTok
導線LP経由 + インスタントフォーム の2パターン
前の業務ST-05 全チャネル横断の数値集計
決裁未確定 月間予算総額の変更・新規媒体の追加は要承認(範囲は要確認)

この業務のWhy

なぜこの業務があるのか

広告はお金を入れると登録が出てくる箱。入れる量と入れる先を決めるのが、この業務。

クリエイティブを作る、入稿する、計測タグを貼る——これらはすべてお金を正しく使うための手段であって、それ自体が目的ではない。手段を完璧にやっても、配分を間違えれば結果は出ない。

この数字の向こうにいる人

1件の登録にかかった金額は、就活に困っている大学3・4年生1人に出会うための費用にあたる。

安く取れているとき、それは効率が良いという以上に同じ予算でより多くの学生に届いているということ。

見る周期は3つある

広告の数字は、見る周期によって見えるものと判断できることが違う。

周期何で見るか判断すること
日中登録の通知(集計は更新されないので数字では見られない)異常を感じたら確認する。止める・再開する
日次集計(1日1回更新)目標ペースに対してどうか
月次媒体ごとの実績CPAと学年配分の決め直し・クリエイティブ入替
日中の監視について

日中は数字が出ない。集計が1日1回しか更新されないため、CPAは見られない。見るのは登録が来たときの通知で、「全体の通知が少ない」「特定の媒体の通知が来ていない」という体感で異常に気づく。

異常を感じたら、その場で現状の数字と歩留まりを確認し、問題を特定する。通知が鳴る状態にしておくこと自体が、この監視の前提になる。

日中に判断してよいこと・いけないこと

してよい:明らかな異常への対処(配信が止まっている、極端に消化が早い・遅い、登録が全く来ない)

いけない:CPAを理由にした予算配分の変更。日中は正しいCPAが出ないため、体感で配分を動かすと根拠のない判断になる。配分は日次以降の集計を見てから決める。

判断の手順

以下は日次・月次で行う手順。日中の監視は上記のとおり通知ベースで、この手順は使わない。

1

今月の目標CPAを出す

今月の予算 ÷ 今月の目標登録数 = 今月の目標CPA

これが今月の上限になる。この数字を先に出さないと、実績が高いのか安いのか判定できない。

WHY目標CPAは毎月変わる。予算も目標登録数も月ごとに設定し直すため、固定の基準値は存在しない。「1件◯円以下ならOK」という数字を覚えても意味がなく、毎月この計算をやり直す必要がある。
急所相場と混同しない。就活の時期によって広告の単価相場は動くが、目標CPAは自分たちの予算と目標から決まるため、相場の影響を受けない。「今月は相場が高いから仕方ない」で上限を緩めない。相場が高いなら、その中で目標CPAに収まる媒体へ寄せる。
2

媒体ごとに「1件いくらで取れたか」を出す

使った金額 ÷ 個人情報登録数 = 実績CPA

媒体ごとに出し、手順1の目標CPAと比べる。

WHY媒体ごとに単価が違うため、どこが安く取れているかは計算しないと分からない。「TikTokは伸びている感じがする」という体感は、金額を割ってみると逆のことが多い。
急所登録数ではなく1件あたりの費用で比べる。登録数が多い媒体は、単に多く出稿しているだけの場合がある。数で判断すると、効率の悪い媒体に予算を積み増すことになる。
3

学年の割合を確認する

媒体ごとに、登録者のうち大学3・4年生が占める割合を見る。

WHY安く取れていても、対象外の学年ばかりなら意味がない。DMが電話してもサービス利用につながらず、費用だけが出ていく。1件あたりの費用が安く見える媒体ほど、ここを確認する。
急所1件あたりの費用と学年の割合は必ずセットで見る。片方だけで判断すると、安いが使えない登録を大量に買うことになる。
4

前の期間と比べる

週単位で並べ、実績CPAが上がってきていないかを見る。

日単位では比べない。1日ごとのCPAは振れ幅が大きく、上昇トレンドなのか単日のブレなのか区別できないため。

WHY広告は同じ設定のまま放置すると、だんだん高くなる。同じ人に何度も表示されて反応が鈍るため。単価の上昇は、クリエイティブが疲弊しているサインになる。目標CPA内でも、上がり続けていればいずれ超えるので、超えてから動くのでは遅い。
5

配分を決める

判断は3つのうちどれか。

状況判断
目標CPAを下回っている + 学年も合っている予算を増やす
目標CPAを超えている / 学年が合っていない予算を減らす、または止める
目標CPA内だが上がってきている金額ではなくクリエイティブを入れ替える
WHY単価が上がったときに予算を減らすのは間違いになる場合が多い。原因はクリエイティブの疲弊であって、金額ではないため。金額を減らしても単価は下がらず、登録数だけが減る。
急所一度に1つの媒体だけ変える。複数を同時に動かすと、翌週の数字が変わった理由が分からなくなる。
6

変更した内容と日付を残す

どの媒体を、いくらから いくらに、なぜ変えたかを記録する。

WHY効果の判定は変更の前後を比べて行う。いつ何を変えたか残っていないと、数字が動いた理由を後から特定できない。

標準から外れたとき

この手順で対応できない状況

この業務の目的は「限られた予算で、対象の学生に最も多く出会うこと」。その目的に照らして判断する。

  • 単価が急に跳ね上がった — 媒体側の仕様変更や競合の参入が原因の可能性。金額の調整では解決しないため報告する
  • 登録は来るが学年が全く合わない — ターゲティングか訴求の問題。予算では直らない
  • 月間予算を超えそう — 要確認 総額の変更は決裁が要る。超える前に報告する
  • 計測が止まっている — 数字が信用できない状態では配分を判断しない。推測で動かさず、計測を直してから判断する
この標準を変えたくなったら

変えてよい。「この判断基準は実態に合っていない」と気づいたら、更新して下の履歴に1行足す。

更新履歴

日付変更内容理由変更者
2026-09-17初版作成広告を「お金の判断」に絞って標準化した柴田
2026-09-17手順5の判断表を確定実際の判断と一致することを確認。仮置きを外した柴田
2026-09-17手順1「今月の目標CPAを出す」を追加CPAの基準は固定値ではなく、予算÷目標登録数で毎月算出すると確定したため柴田
2026-09-17「見る周期は3つある」を追加日中は通知ベースで監視しており、集計が出ないためCPA判断ができないことを明記した(研修資料 第6章の2層構造に準拠)柴田

4. 残りの作業の扱い

23項目のうち、判断として標準書に入れたのは予算配分だけ。残りは手順として軽く扱う。

分類項目扱い
判断予算配分の決定 / 停止・再開の判断 / 予算の日次調整標準書 AD-01(この資料)
作る広告画像 / 動画 / 広告文 / クリエイティブ差し替え手順のみ。数行で足りる
設定する入稿 / 配信面調整 / ターゲティング / キャンペーン構成 / インスタントフォーム手順のみ
計測するタグ設置 / CV計測設定 / 計測確認手順のみ。ただし止まったら判断できなくなるので急所扱い
報告する数値確認 / CPA管理 / レポート作成ST-05・ST-06 に含まれる
事務媒体担当者とのやり取り / 請求処理手順のみ

23項目を23枚書く必要はない。
判断が1つなら、標準書も1枚で足りる。

5. 確認したいこと

仮置きしている箇所
  • 月間予算・目標登録数の実数 — 月ごとに変わるため標準書には書かない。毎月、手順1で計算して出す
  • 決裁の範囲 — 総額変更・新規媒体がどこから承認かが未確認
#確認点
1判断が「予算配分」だけで足りているか。他に判断と呼ぶべきものが漏れていないか
2確認済 手順5の判断表(増やす / 減らす / クリエイティブ入替)は実際の判断と一致(2026-09-17 確認)
3この密度・分量で、他チャネルも同じ形にできそうか