新人研修 配布資料

マーケティング部 / 全7章 / 演習・回答例つき

この研修の狙い

新人が、自分の仕事が何につながっているかを理解し、そのうえで業務を改善できる状態になること。

説明の順番は次の通り。

1. 会社は何者か 2. どう価値を出し収益化するか 3. 組織の役割分担 4. マーケの担当範囲 5. 日々の業務 6. 業務の考え方 ← 最も重要 7. 使用用語

先に自分の仕事と目的を理解してから、第6章で改善の道具を受け取る。第6章がこの研修で最も重要な章になる。

章の分担

何を扱うか
1〜3会社と組織の理解
4何をやるか
5いつやるか
6どう良くするか
7何と呼ぶか

Chapter 1会社は何者か

到達目標

自社を一言で説明でき、自分の所属先を理解している。

会社の説明

就活・転職の支援をする会社。

対象は3者。

グループ会社

会社役割
フルベットグループ母体。経営管理のみを担う
中小企業のチカラタレントプロモーション。タレントをサブスクリプションで利用できるサービス
プロの副業プロシェアリング。フリーランスと企業をマッチング
フルベットマネジメント文化浸透を担う。組織コンサルティングのような役割

自社サービス

サービス内容
人材紹介就活生に就活支援を提供し、入社までつなげる
イベント就活生が参加し、企業からオファーを受けたり選考を受けたりできる場を提供する
逆求人就活生が登録し、企業がプロフィールを見てオファーを出す
YouTube番組企業が就活生へアピールする番組。または就活生が出演し、参加企業から内定を得る番組
採用コンサルティング企業ごとの採用に関する課題を解決する

マーケ部の役割

就活生を集客する部門。各サービスへ就活生を集め、人材紹介・イベント・逆求人・YouTube番組の利用につなげる。

演習 1-1

次の2つを自分の言葉で説明する。

  1. 当社・グループ各社は誰に、どのサービスで、どんな価値を提供するか
  2. マーケ部が担う役割
回答例

1. 誰に、どのサービスで、どんな価値を提供するか

当社は就活・転職の支援をする会社で、新卒求職者・中途求職者・採用企業の3者を対象にしている。

就活生に対しては、人材紹介で就活支援を提供して入社までつなげ、イベントで企業からオファーや選考を受けられる場を提供し、逆求人で企業から直接オファーを受ける機会を提供し、YouTube番組で企業や仕事の情報を届ける。

採用企業に対しては、これらのサービスを通じて就活生との接点を提供し、採用コンサルティングで採用課題の解決を支援する。

グループ会社はそれぞれ別の領域を担う。フルベットグループは母体で経営管理のみ、中小企業のチカラはタレントをサブスクで使えるサービス、プロの副業はフリーランスと企業のマッチング、フルベットマネジメントは組織コンサル的な文化浸透を担う。

2. マーケ部が担う役割

就活生を集客する部門。集めた就活生を人材紹介・イベント・逆求人・YouTube番組の利用につなげる、入口の役割を担う。

理解確認

上記を説明でき、講師が事実との齟齬を確認できる。

Chapter 2どう価値を出し収益化するか

到達目標

就活生・企業・自社の価値交換と、マーケ部の集客が事業に接続する理由を説明できる。

全体構造

就活生 ──→ 各サービス ──→ 企業との接点・採用成功 ──→ 企業からの対価 ──→ 事業継続 ↑ マーケ部が集客

5事業の価値交換

人材紹介

イベント

逆求人

YouTube番組

採用コンサルティング

共通点

5事業すべて、対価を払うのは企業側。就活生からは取らない。

演習 2-1

人材紹介・イベント・逆求人・YouTube番組・採用コンサルティングのいずれか1つを選び、次の3点を図で説明する。

  1. 誰に価値を渡すか
  2. 誰が何に対価を払うか
  3. マーケ部がどこを担うか
回答例(逆求人を選んだ場合)
就活生 ──登録──→ 逆求人サービス ←──オファー送信──── 企業 │ │ プロフィール掲載 費用支払い (採用成功時 or オファー数に応じた月額) ↑ マーケ部が集客 (登録する就活生を増やす)
  1. 価値を渡す相手は2者。就活生には企業から直接オファーを受ける機会を渡し、企業には候補者へ直接アプローチする手段を渡す。
  2. 対価を払うのは企業。採用成功時の費用か、オファー送信数に応じた月額費用のいずれか。就活生は払わない。
  3. マーケ部は登録する就活生を集める部分を担う。登録者が増えると、企業がアプローチできる候補者が増え、企業が払う価値が上がる。
理解確認

5つの事業の価値交換を説明できる。

Chapter 3組織の役割分担

到達目標

学生・企業がサービス利用に至るまでの流れと、各部門が担う役割を説明できる。

対象部門

マーケ / DM / CA / IS / FS / CS の6部門。

2本の流れ

学生側 マーケ ──→ DM ──→ CA ──→ 入社 (集客) (営業) (面談) 法人側 IS ──→ FS ──→ CS ──→ 採用 (商談設定)(契約)(サポート)

部門ごとの役割

部門役割
マーケ就活生を集客し、各サービスの利用につながる入口を作る
DM集客した学生の個人情報に対して営業する。学生をサービス利用へつなげる
CA学生と面談する。学生を入社までつなげる
IS法人の商談を設定する
FS法人と商談する。契約へつなげる
CS契約した顧客をサポートする。就活生の採用までつなげる
演習 3-1

学生側と法人側の2本の流れを図に書き、各部門が何をするかを説明する。

回答例

学生側は、マーケが就活生を集客し、DMが集まった個人情報に対して営業してサービス利用へつなげ、CAが学生と面談して入社までつなげる。

法人側は、ISが法人の商談を設定し、FSが商談して契約につなげ、CSが契約後の顧客をサポートして就活生の採用まで持っていく。

この2本は最後で合流する。学生側で集めた就活生が、法人側で契約した企業に採用されることで、企業が対価を払う(第2章)。マーケ部は学生側の一番手前を担っている。

理解確認

学生側のマーケ→DM→CA→入社と、法人側のIS→FS→CS→採用の流れを説明できる。

Chapter 4マーケの担当範囲

到達目標

マーケ部がどんな仕事を持っている部門かを説明できる。現在動いているチャネルと、停止中・未着手のチャネルを区別できる。

この章は「何をやるか」の説明。いつやるかは第5章、どう良くするかは第6章で扱う。

担当範囲の全体像

マーケ部 │ ├─ 集客チャネル │ ├─ SEO ................ 稼働中 │ ├─ 広告運用 ............ 稼働中 │ ├─ SNS運用 ............. 停止中(再開予定あり) │ └─ サービスHP .......... 人材紹介のみ稼働 │ └─ 付随業務 ├─ LP構築 ├─ Webコンテンツ作成 ├─ データ基盤の構築 ├─ 集計作業 ├─ BI・データ分析システム構築 └─ システム自体の構築
包括方針

Webマーケをやるにあたって必要なことは基本的に全部やる。

付随業務は、マーケ部が持っている仕事として一覧で示すに留める。各業務の具体的な手順は別途手順書で扱う。

全チャネル共通の着地点

どのチャネルも、個人情報を取得したあとはDMが電話し、サービス利用へつなげる。

最終KPIは個人情報登録数。

4-1 SEO 稼働中

集めたい就活生

大学3・4年生を主な対象とする。

考え方

集めたい就活生像を先に固定しない。サービスに近い検索テーマから遠いテーマまでを順に見て、各テーマがどのサービス利用へ近づくかを理解する。

サービスへの近さ4段階

段階状態実例距離
1サービス名を知っているジョブコミットを調べる最も近い
2就活支援サービスに興味がある就活エージェントを探す近い
3就活に困っている自己分析がしたい、自己PRを作りたい遠い
4就活と関係ないものを調べるキャラクターコード、ラブタイプ最も遠い

段階1はすでに自社を認知して探している。段階2は比較・検討しているので、自社を知ってもらい利用へつなげる。段階3は困りごとの解決を入口に接点を作る。段階4は接点を作り、後に就活やサービス利用へつなげる。

診断コンテンツの位置づけ

キャラクターコード、ラブタイプなどの診断コンテンツは2つの入口を持つ。

  • 直接検索:診断名で検索して直接来る。近さ4段階の段階4にあたる
  • 記事内から:記事を読んでいる途中に広告として出す

集客の入口であると同時に、記事内の導線パーツでもある。

導線

記事に来訪 → 広告をクリック → LPを見る → 登録する → DMが電話 → サービス利用

見る数値

KPI

個人情報登録数を最終的に見る。固定の月間目標は置かない。月ごとの時期・施策に応じて目標を設定する。

やっている業務(22項目)

分類業務
企画・設計1. キーワード調査(検索ボリューム・競合の確認)
2. 記事テーマの選定
3. 記事構成案の作成
4. 年間・月間の記事計画づくり
制作5. 記事の執筆
6. 記事の編集・校正(他者が書いたもの)
7. 画像・図版の作成
8. CMSへの入稿・公開作業
9. 外注ライターへの発注・進行管理
記事内の導線10. 記事内に置く広告バナーの作成
11. 広告バナーの配置・差し替え
12. 記事からLPへの導線設計
13. LINE追加導線の設置
14. 診断コンテンツ等の企画・制作
改善・保守15. 既存記事のリライト
16. 検索順位のチェック
17. インデックス・エラーの監視(Search Console等)
18. 内部リンクの整理
技術面19. サイトの表示速度・技術改善
20. 構造化データ・メタタグの管理
数値21. PV・UU・登録数の集計
22. レポート作成・共有

4-2 広告運用 稼働中

使用媒体

導線(2パターン)

LP経由 広告 → LP → 個人情報登録 → DMが電話 → サービス利用 インスタントフォーム 広告 → プラットフォームのフォームで登録 → DMが電話 → サービス利用

インスタントフォームはLPを挟まない。媒体側が準備しているフォームを使う。

どちらの導線も、個人情報取得後はDMの電話に合流する。

見る数値

段階 Imp → クリック → 結果 → 個人情報 → 学年 費用面 費用面も全部見る

「結果」は媒体側で計測されるコンバージョン。

KPI

個人情報登録数。SEOと同じ。

やっている業務(23項目)

分類業務
戦略・設計1. 媒体ごとの予算配分の決定
2. ターゲティング設計(年齢・地域・興味関心など)
3. キャンペーン構成の設計
4. 訴求軸の設計
クリエイティブ5. 広告画像の作成
6. 広告動画の作成
7. 広告文(コピー)の作成
8. クリエイティブの差し替え・追加
入稿・運用9. 広告アカウントへの入稿
10. インスタントフォームの作成・編集
11. 配信面・配信設定の調整
12. 入札・予算の日次調整
13. 停止・再開の判断
計測14. 計測タグ・ピクセルの設置
15. コンバージョン計測の設定
16. 計測が正しく動いているかの確認
改善17. 媒体別・キャンペーン別の数値確認
18. 疲弊したクリエイティブの入れ替え
19. LP・インスタントフォームの改善
数値・報告20. 消化金額・CPAの管理
21. レポート作成・共有
その他22. 媒体担当者とのやり取り
23. 請求・支払いの処理

4-3 SNS運用 停止中

現在の状態
  • アカウント自体は保有している
  • 現在は運用していない
  • 再開する予定はある

運用停止中のため、現時点で発生している業務はない。

マーケ部が持っているチャネルではあるが、いま動いていない。再開予定があるため、引き継ぎ対象外にはしない。

未確定

4-4 サービスHP 人材紹介のみ

現在の状態
  • 稼働しているのは人材紹介サービスのHPのみ
  • 他サービスのHPも持ちたいが、手が回っていない

人材紹介以外のサービスHPは、着手できていない残タスク。

導線

サービスHP → 個人情報登録 → DMが電話 → サービス利用

見る数値

SEOと同じ。PV / UU / 個人情報登録数 / 登録者の年齢・学年。

KPI

個人情報登録数。SEOと同じ。

やっている業務(14項目)

分類業務
企画・制作1. HPの構成・ページ設計
2. 掲載内容の作成・更新
3. 画像・図版の作成
4. 求人情報の掲載・更新
登録導線5. 登録フォームの設置・改修
6. 登録フォームの項目・文言の調整
7. HP内の導線設計(どこから登録に送るか)
開発・保守8. デザインの改修
9. HPの開発・実装
10. サーバー・ドメインの管理
11. 表示速度・技術面の保守
計測・数値12. 計測タグの設置・確認
13. PV・UU・登録数の集計
14. レポート作成・共有

未確定

演習 4-1

マーケ部が持つ4つの集客チャネルを挙げ、それぞれの稼働状況を答える。

回答例
チャネル稼働状況
SEO稼働中
広告運用稼働中。Instagram / LINE / X / TikTok の4媒体
SNS運用停止中。アカウントは保有しており、再開予定はある
サービスHP人材紹介サービスのHPのみ稼働。他サービスは未着手
演習 4-2

SEOと広告運用の導線を書き、どこで合流するかを答える。

回答例
SEO 記事 → 広告クリック → LP → 個人情報登録 ─┐ │ 広告(LP経由) 広告 → LP → 個人情報登録 ──────────┤ ├→ DMが電話 → サービス利用 広告(フォーム) 広告 → インスタントフォーム登録 ─────┤ │ サービスHP HP → 個人情報登録 ───────────────┘

個人情報登録の時点で合流する。そこから先はどのチャネルも同じで、DMが電話してサービス利用へつなげる。

だからマーケ部の最終KPIは全チャネル共通で個人情報登録数になる。

演習 4-3

「キャラクターコード」で検索してきた学生は、サービス利用までどれくらい遠いか。近さ4段階のどこにあたるかを答え、なぜその位置なのかを説明する。

回答例

段階4「就活と関係ないものを調べる」にあたる。最も遠い。

理由は、この学生は就活のために検索していないから。診断そのものに興味があって来ている。就活支援サービスを探しているわけでも、就活に困っているわけでもない。

ただし遠いから価値が無いわけではない。まず接点を作り、後から就活やサービス利用へつなげる入口として機能する。診断コンテンツは直接検索の入口にもなり、記事内の導線パーツにもなる。

理解確認
  • 4つの集客チャネルと付随業務を列挙できる
  • 各チャネルで何をやるかを説明できる
  • 各チャネルが個人情報登録からDMの電話へつながる流れを説明できる
  • 現在動いているチャネルと、停止中・未着手のチャネルを区別できる

Chapter 5日々の業務

到達目標

チャネルに属さない横断業務を把握し、どの業務をどの頻度で回すかを説明できる。

第4章が「何をやるか」、この章が「いつやるか」を扱う。

横断業務の一覧(19項目)

分類業務
会議・報告1. 部内の定例ミーティング
2. 経営層への報告
3. DM部門との連携・共有
4. 他部門(CA / IS / FS / CS)とのやり取り
数値・分析5. 全チャネル横断の数値集計
6. 全体レポートの作成
7. BI・ダッシュボードの更新・保守
8. データ基盤の保守
マネジメント9. メンバーへの指示・進捗確認
10. メンバーの育成・研修
11. 採用面接・採用活動
12. 外注先の管理
企画・計画13. 月次・四半期の目標設定
14. 施策の企画立案
15. 予算管理
依頼対応16. 他部門からの依頼対応(LP作成、資料作成など)
17. 突発対応・トラブル対応
その他18. ツールの選定・契約・管理
19. 新しい仕組み・システムの構築

頻度別の割り当て

毎日

数値を毎日集計してレポートへ落とし、その内容をもとにメンバーへ指示を出す。数値の確認とマネジメントが日次で連動している。

毎週

週次は他者とのやり取りが中心。部内・経営層・他部門への共有がここに集まる。

毎月

月次で目標を設定する。第4章の通り、個人情報登録数の月間目標は固定せず、時期・施策に応じて設定する。

不定期(スポット対応)

決まった周期では回さず、必要が生じたときに対応する。

業務の重心

日次 ── 数値を見て、メンバーへ指示を出す 週次 ── 関係者へ共有し、すり合わせる 月次 ── 目標を置き直す 随時 ── 必要に応じて対応する
演習 5-1

毎日やること4項目を挙げ、その4つがどうつながっているかを説明する。

回答例

毎日やることは、全チャネル横断の数値集計、全体レポートの作成、BI・ダッシュボードの更新・保守、メンバーへの指示・進捗確認の4つ。

この4つは1本につながっている。まず数値を集計し、それをレポートとダッシュボードに落とす。そこで見えた状況をもとにメンバーへ指示を出す。

つまり日次の業務は「数字を見て、次の動きを決める」という1つの流れになっている。集計だけして指示を出さなければ意味がなく、数字を見ずに指示を出せば根拠がない。

演習 5-2

「他部門からの依頼対応」が不定期に置かれている理由を説明する。

回答例

依頼が来るタイミングを自分でコントロールできないから。

毎日・毎週・毎月に置ける業務は、自分で周期を決められるもの。数値集計は毎日やると決められるし、定例ミーティングは週次で設定できる。

一方で他部門からの依頼は、相手の都合で発生する。予定に組み込めないので、決まった周期を持たせられない。突発対応・トラブル対応も同じ理由。

理解確認
  • 横断業務を頻度別に分類して説明できる
  • 毎日やること4項目を挙げ、その4つが数値集計からメンバーへの指示までつながっていることを説明できる

Chapter 6業務の考え方

この章の位置づけ

この章は研修の中で最も重要。

前提がずれたまま進むと、以降のすべてがずれる。第4章・第5章で何をやるかを理解したうえで、この章の思考を身につける。

到達目標

目的・因数分解・比較・PDCAの4つを、自分の担当業務に対して使える。

4項目の関係

目的 なんでやるのか / 達成したら何が見えるのか │ ▼ 因数分解 計測できる最大の母数から目標数字まで、数字が取れる場所で区切る │ ▼ 比較 始点・終点・間の歩留まりを並べる │ ▼ PDCA 低い区間を1つ選び、1つだけ打ち、判定する

目的がずれると、因数分解も比較もPDCAも全部ずれる。

6-1 目的

考えること

位置づけ

これはスキルではない。業務に入る前の最低条件。

業務をするなら、この2つを考える。考えずに手を動かしている状態は、業務をしているとは言わない。

演習 6-1

第4章・第5章で列挙した業務から自分の担当を取り、それぞれについて2つの問いに答える。

答えられない業務があれば、その業務は目的を理解せずにやっているということになる。

回答例(記事の執筆を選んだ場合)

なんでそれをやるのか

検索から就活生を集めるため。記事がないと検索に出ないので、集客の入口が作れない。

達成したときに見えるゴールは何なのか

記事に来た就活生が広告をクリックし、LPで登録する。登録した個人情報にDMが電話し、サービスを利用してもらう。最終的には、その学生が入社を決めて企業が成功報酬を払い、事業が続く。

記事を書くこと自体がゴールではない。記事は登録につながる入口であり、登録は事業の売上につながっている。

6-2 因数分解

分解する範囲

区切る場所

数字が取れる場所で区切る。

原則

分解自体は自由にできる。ただし数字が取れない段階は分析できないので、置いても意味がない。

細かく分けるほど良いのではない。計測できるかどうかで決まる。

SEO PV → UU → 広告クリック → LP閲覧 → 個人情報登録 ↑ ↑ 計測できる最大の母数 目標数字 広告運用 Imp → クリック → 結果 → 個人情報 ↑ ↑ 計測できる最大の母数 目標数字
演習 6-2

「記事を読んでいる途中でスクロールを止めた学生」を分解の段階に入れるべきか。理由とあわせて答える。

回答例

入れない。

ユーザーの行動としては起きているが、計測できない。分解の段階として置くことはできるが、数字が取れなければ歩留まりを出せず、分析できない。分析できない段階を置いても意味がない。

分解は「細かく分けること」が目的ではなく、「どこが問題かを数字で特定すること」が目的。目的に対して機能しない段階は入れない。

6-3 比較

比較するもの

歩留まりは、次の段階の数 ÷ 前の段階の数で出す。同じ集計単位でそろえる。

比較の2方向

横の比較(区間どうし) — 同じ時点で、どの区間の歩留まりが一番低いかを見る。打つ場所を決めるために使う。

PV → UU 90% UU → クリック 3% ← 一番低い。ここに打つ クリック → LP 80% LP → 登録 20%

縦の比較(時点どうし) — 同じ区間で、前回と比べて良くなったかを見る。打った手が効いたかを判定するために使う。

先週 今週 UU → クリック 3% → 5% 改善した
注意:数字は嘘をつく

元データが間違っていても計算はできてしまう。比較する前に、元の数字が正しいかを確認する。

演習 6-3

横の比較と縦の比較は、それぞれ何を決めるために使うか。

回答例

横の比較は、打つ場所を決めるために使う。同じ時点で全区間の歩留まりを並べ、一番低い区間を見つける。そこが一番改善の余地がある場所になる。

縦の比較は、打った手が効いたかを判定するために使う。同じ区間の歩留まりを前回と比べ、上がっていれば効いた、変わらなければ効かなかったと分かる。

両方必要。横だけでは打った後の判定ができず、縦だけではどこに打つべきか決められない。

6-4 PDCA

段階やること
Plan最も低い歩留まりを1つ選び、打てる改善策を洗い出し、原因仮説に最も合う1つを選ぶ
Do選んだ改善策を1つだけ実行する
Check改善前後で、その歩留まりと目標数字を比較する
Act改善していれば残す。改善していなければ別の仮説を試す。次に低い区間へ進む
2つの原則

改善場所を固定しない — 毎回同じ場所を直すのではない。低い歩留まりに対して打てる手を洗い出し、仮説に最も合う1つを選ぶ。

一度に1つだけ打つ — 複数を同時に変えると、どれが効いたか判定できない。

確認の2層構造

内容
日次
(集計ベース)
集計は更新が必要なので、1日1回しか把握できない。そのタイミングで、日々のペースが目標に対してどうかを見る
日中
(体感・通知ベース)
集計が更新されないので、数字では分からない。体感か通知で確認するしかない。異常を感じたら、その場で数字と歩留まりを見て問題を特定し、施策につなげる

判定のタイミング

対象によって変わる。固定の時間はない。

事例(広告運用)
1. 登録が来たら通知とカウントが自動で鳴る状態にしておく ↓ 2. 「全体の数が少ない」「自分の広告の通知が少ない」と感じる ↓ 3. 現状の数字と歩留まりを確認し、何が問題かを特定する ↓ 4. 施策につなげる ↓ 5. 通知が来るかを待つ ↓ 6. 半日待って数字が来ていなければ、同じフローをもう一度回す

この事例は半日だが、対象が変わればタイミングも変わる。

区間別の改善策(SEOの場合)

改善場所を固定しない。低い歩留まりに対して打てる手を洗い出し、理由の仮説に最も合う1つを選ぶ。

低い区間打てる手
PV・UUが少ない記事テーマを変える/キーワードや検索意図を変える/検索結果に出るタイトル・説明文を変える/記事内容を検索意図に合わせて直す/関連記事・外部露出からの導線を増やす
記事 → 広告クリックが低い広告の位置・回数・表示タイミングを変える/広告の文言・画像・訴求を変える/広告を押した先で得られることを記事内で具体化する/記事本文と広告の訴求をつなげる/記事テーマと広告の提供価値の組み合わせを変える
LP閲覧 → 個人情報登録が低いLPの最初に伝える価値を変える/サービス内容・登録後に得られること・対象者を分かりやすくする/事例・実績・利用者の声など安心材料を増やす/登録フォームの項目数・順番・見せ方を変える/登録ボタンの文言・位置・導線を変える
記事・LP → LINE追加が低いLINE追加後に得られる情報・支援を明確にする/追加ボタンの位置・文言・見せ方を変える/記事・LPからLINEまでの手順を減らす/LINE追加を先に促す記事テーマ・訴求へ変える
大学3・4年生の割合が低い大学3・4年生が検索するテーマ・キーワードへ変える/記事・広告・LPの言葉を対象学生に合わせる/登録フォームやLPで対象者を明示する/大学3・4年生が欲しい情報・支援内容を前面に出す
演習 6-4

一度に1つだけ打つ理由を説明する。

回答例

複数を同時に変えると、どれが効いたか判定できないから。

例えばLPのファーストビューとフォームの項目数を同時に変えて、登録率が上がったとする。このとき、上がった理由がファーストビューなのか、フォームなのか、両方の組み合わせなのかが分からない。

分からないままだと次に活かせない。効いた手を残して他へ広げることも、効かなかった手を捨てることもできない。

打った手と結果が1対1で対応していないと、比較(6-3の縦の比較)が成立しない。

演習 6-5(実データ演習)

注意:この演習は実データが必要。データが未取得の場合は実施できない。

  1. 実データから各区間の歩留まりを確認する
  2. 最も低い歩留まりの区間を1つ特定する
  3. その区間で打てる改善策を複数洗い出す
  4. 仮説に合う改善策を1つ選ぶ
  5. 実行後、改善前後の歩留まりと目標数字を比較する
  6. 改善していれば残し、していなければ別の仮説を試す

必要なデータ項目

チャネル必要な項目
SEOPV / UU / 広告クリック数 / LINE追加数 / 個人情報登録数 / 登録者の年齢・学年
広告運用Imp / クリック / 結果 / 個人情報 / 学年 / 費用
サービスHPPV / UU / 個人情報登録数 / 登録者の年齢・学年

すべて同じ期間・同じ集計単位でそろえる必要がある。

理解確認
  • 自分の担当業務について目的の2つの問いに答えられる
  • 担当チャネルの導線を、計測できる母数から目標数字まで分解できる
  • 横の比較で打つ場所を決め、縦の比較で効果を判定できる
  • 一度に1つだけ打つ理由を説明できる

Chapter 7使用用語

到達目標

社内の会話で出てくる用語を理解し、他部門とのやり取りで詰まらない。

7-1 部門

用語意味
マーケ就活生を集客する部門。各サービスの利用につながる入口を作る
DM集客した学生の個人情報に対して営業し、サービス利用へつなげる部門
CA学生と面談し、入社までつなげる部門(キャリアアドバイザー)
IS法人の商談設定を行う部門
FS法人と商談し、契約へつなげる部門
CS契約した顧客をサポートし、就活生の採用までつなげる部門

7-2 学生側の段階数値

学生側の流れ(マーケ → DM → CA → 入社)に沿った段階ごとの数値。DM・CAとのやり取りで出てくる。

用語意味
組数面談などの予定を組んだ数
済数組んだうち、実施が済んだ数
アテンド数学生を企業へ案内・紹介した数
承諾数内定を承諾した数
入社数実際に入社した数
注意

組数と済数は別の数字。予定を組んでも実施されなければ済数にならない。

どの数字を目標項目に置いているかは組織・立場によって変わる。ここがずれると、因数分解する歩留まりも変わる(第6章参照)。

7-3 マーケの数値

用語意味
PVページが表示された回数
UU訪問したユニークユーザー数
Imp広告が表示された回数(インプレッション)
クリック広告がクリックされた数
結果媒体側で計測されるコンバージョン数
個人情報登録数登録により個人情報を取得した数。マーケの最終KPI
歩留まり次の段階の数 ÷ 前の段階の数。段階間の通過率
CTRClick Through Rate。クリック率
FTRFriend Through Rate。LINE友だち追加率。社内造語のため社外では通じない
CPACost Per Acquisition。1件獲得あたりの費用
KPI目標として追う指標

7-4 チャネル・仕組み

用語意味
SEO検索から集客する取り組み
LPランディングページ。登録につなげるための単独ページ
インスタントフォーム各広告プラットフォームが用意している登録フォーム。LPを挟まず媒体上で登録が完結する
CMS記事を入稿・公開するシステム
SERP検索結果画面。ここに出るタイトル・説明文が流入に影響する
Search Console検索でのインデックス状況・エラーを確認するもの
BI数値を集約して見るダッシュボードの仕組み
診断コンテンツキャラクターコード、ラブタイプなど。直接検索の入口と、記事内の導線パーツの2つの役割を持つ

7-5 サービス

用語意味
人材紹介就活生に就活支援を提供し、入社までつなげるサービス
イベント就活生が企業からオファーを受けたり選考を受けたりできる場
逆求人就活生が登録し、企業がプロフィールを見てオファーを出すサービス
YouTube番組企業が就活生へアピールする番組、または就活生が出演し内定を得る番組
採用コンサル企業ごとの採用課題を解決するサービス
ジョブコミット自社サービス名。サービス名で検索されるケースの実例
演習 7-1

組数と済数の違いを説明する。

回答例

組数は面談などの予定を組んだ数。済数は、組んだうち実際に実施が済んだ数。

予定を組んでも来なければ済数にならないので、組数のほうが必ず大きくなる。この2つの間にも歩留まりがある。

どちらを目標項目に置くかで、追う数字も改善する場所も変わる。組数を目標にすると「予定を組むこと」に注力し、済数を目標にすると「実際に来てもらうこと」まで含めて考える必要が出る。

演習 7-2

FTRを社外の人に使うとどうなるか。

回答例

通じない。FTRは社内造語で、一般的な指標名ではない。

CTR(Click Through Rate)は広く使われている用語だが、FTR(Friend Through Rate)はLINE友だち追加率を指す社内独自の呼び方。社外の人と話すときは「LINEの友だち追加率」と言い換える必要がある。

社内用語と一般用語の区別がついていないと、社外とのやり取りで話が通じない。

理解確認
  • 他部門との会話で出る用語の意味を説明できる
  • 組数と済数の違いを説明できる
  • FTRが社内造語であり社外では通じないことを認識している

付録:未確定事項

この資料の作成時点で確定していない項目。実データや実態の確認が必要。

対象未確定の内容
演習演習6-5(実データ演習)に使うデータが未取得。架空の数値で代替しない
第4章
SNS運用
保有しているアカウントの媒体・個数/再開時期/再開時の担当/再開時にどの媒体を動かすか
第4章
サービスHP
どのサービスのHPを次に作るか/着手時期
第4章
業務項目
広告運用23項目とサービスHP14項目は、実態との照合が未了
第5章定例ミーティングの曜日・時間/経営層への報告のフォーマット・提出先/日次の数値集計に使うツールと手順/不定期業務の発生頻度の目安
第6章目的について、ゴールの置き方を間違えた実例/因数分解・比較・PDCAについて、SEO・広告以外のチャネルでの実例
第7章ツール名(本資料には含めない方針)/上記以外の社内略語・言い回し/法人側(IS / FS / CS)の段階数値の呼び方
各業務の手順について

第4章・第5章で列挙した業務の具体的な手順は、この研修資料では扱わない。別途、業務手順書として作成する。