第 二 回
第五章 — 第七章
冒 頭
先に第五章で実際の回し方を見て、第六章でその順番の理由をやる。手順だけ覚えても、六章がずれていると全部ずれる。
前回の宿題をすり合わせる(10分)。
全 体 像
どの業務も、この四つの形をしている。終わりはない。実装した結果を確認するところが、次の一周の出発点になる。
第 五 章
四段を実際に回す — 何を、どの頻度で、どう区切って見るか
第 五 章 · 毎 日
集計だけして指示を出さなければ、一で止まっている。数字を見ずに指示を出せば、一を飛ばして四に跳んでいる。
第 五 章 · 頻 度
日次・週次・月次は別の仕事ではない。同じ四段を、見る範囲と周期を変えて回しているだけ。
第 五 章 · 区 切 り 方
分解自体は自由にできる。ただし数字が取れない段階を置いても意味がない。
細かく分けるほど良いのではない。計測できるかどうかで決まる。
第 五 章 · 反 例
「記事を読んでいる途中でスクロールを止めた学生」
行動としては起きている。でも計測できない。段階として置くことはできるが、歩留まりが出せないので分析できない。
「細かく分けること」ではなく、
「どこが問題かを数字で特定すること」。
第 五 章 · 横 の 比 較
歩留まり = 次の段階の数 ÷ 前の段階の数。同じ集計単位でそろえる。
率の低さだけでは決めない。過去・目標との差、増やせる登録数、改善の手間で優先する区間を決める。
練 習 · 一 問 目
ある月のSEO経由の架空例。同じ対象を人数で追った数字。どの区間に打つべきか。
| 記事訪問者 | 80,000 |
| クリックした人 | 4,000 |
| LP到達者 | 3,600 |
| 登録した人 | 360 |
各区間の歩留まりを出す。打つ場所を決めるために、追加で何を確認したいか。
練 習 · 一 問 目 の 答 え
段階が違えば率の水準も違う。過去・目標との差、増やせる登録数、改善の手間を追加確認し、優先順位を決める。
練 習 · 二 問 目
同じ月の、二つの流入経路の数字。どちらを先に手当てするか。
| 経路A | LP閲覧 20,000 → 登録 1,600 歩留まり 8% |
| 経路B | LP閲覧 50 → 登録 1 歩留まり 2% |
率だけを見ればBが低い。それでもBに打つべきか。
練 習 · 二 問 目 の 答 え
母数が50件しかない。2%が4%に倍増しても、増えるのは1件。そもそも1件と2件の差は、偶然でも動く。効いたかどうかを判定できない。
母数が20,000件ある。8%が9%になるだけで、200件増える。数字が動けば判定もできる。
率だけで選ばず、母数・増やせる登録数・改善の手間も見る。
練 習 · 三 問 目
後輩が作った、記事からの登録までの分解。問題のある段階が一つある。
段階として置けるかどうかではなく、区切りの原則に照らして考える。
練 習 · 三 問 目 の 答 え
行動としては起きているが、数字が取れない。歩留まりが出せないので、そこが低いのかどうかを判定できない。
その段階を外す。記事訪問者 → クリックした人 → LP到達者 → 登録した人。計測できる段階だけで並べ直す。
細かく分けるほど良いのではない。数字が取れない段階を入れると、そこで分析が止まる。
第 五 章 · 縦 の 比 較
横だけでは打った後の判定ができない。縦だけではどこに打つか決められない。
元データが間違っていても計算はできてしまう。比較する前に、元の数字が正しいかを確認する。
練 習 · 四 問 目
UU → クリックの歩留まりが低かったので、先週バナーの画像を差し替え、同時に配信先の媒体も増やした。
| 先週 | UU 80,000 → クリック 4,000 5% |
| 今週 | UU 90,000 → クリック 6,300 7% |
歩留まりは 5% → 7% に上がった。この施策は成功と報告してよいか。
練 習 · 四 問 目 の 答 え
数字は確かに上がった。ただしバナー差し替えと媒体追加のどちらが効いたのか分からない。むしろ片方が悪化していて、もう片方がそれを打ち消している可能性もある。
一度に打つのは一つだけ。バナーを差し替えて判定し、次に媒体を増やして判定する。一つずつ変えると原因を絞りやすい。ただし、曜日・期間・流入元などの比較条件も確認する。
複数同時に打つと、数字が動いても原因が特定できない。次に何を再現すればいいのか分からなくなる。
練 習 · 五 問 目
メンバーからの報告。「LP を改修して、登録率が 8% から 15% に上がりました」
| 改修前 | LP閲覧 20,000 → 登録 1,600 8% |
| 改修後 | LP閲覧 4,000 → 登録 600 15% |
率は確かに上がっている。この報告をそのまま受け取ってよいか。
練 習 · 五 問 目 の 答 え
LP閲覧が 20,000 から 4,000 へ激減している。流入量だけでなく、流入元や利用者の構成が変わった可能性もある。率が上がった理由は、この数字だけでは分からない。登録の実数は1,600件から600件へ、1,000件減っている。
改修した区間(LP → 登録)だけでなく、その前の区間も一緒に見る。期間・流入量・流入元・計測を確認する。流入が減った原因や、LP改修の効果はまだ判断できない。
登録率は上がったが登録数は減った。全体の成果と改修の効果を分け、前の区間まで確認する。
練 習 · 六 問 目
金曜に施策を打ち、土日の数字で判定した。
| 打つ前 | 木曜・金曜の2日間の歩留まり 5% |
| 打った後 | 土曜・日曜の2日間の歩留まり 3% |
数字は下がった。「この施策は失敗だった」と判定してよいか。
練 習 · 六 問 目 の 答 え
平日と土日を比べている。就活生の動きは曜日で変わる。施策を打たなくても土日は数字が下がっていたかもしれない。これでは施策の効果が判定できない。
同じ条件どうしで比べる。先週の土日と今週の土日、あるいは平日どうし。曜日・季節・キャンペーンの有無など、数字が動く要因をそろえる。
前後で比べるときは、施策以外の条件が同じであること。条件がずれていたら、その比較自体が使えない。
第 五 章 · 確 認 の 二 層
日中に「数字が見られない時間帯」が必ずあることを前提に組み立てる。
問 い
昼の時点で「今日は登録が少ない気がする」と感じた。ただし集計レポートは朝の更新分しかなく、今日の数字はまだ入っていない。
明日レポートが更新されるまで待つ。
一日分の判断が丸ごと遅れる。
レポート以外に、今この瞬間の数字はどこで見られるか。
答 え
集計レポートは一日一回しか更新されない。日中は、その対象の一次ソースを直接見にいく。
| 共通 | トークノートへの通知 登録が入ると自動で流れる。件数の増減が最初に体感で分かる場所 |
| 広告 | 各広告媒体の管理画面 当日の Imp・クリック・結果がリアルタイムに近い形で出ている |
| サイト・LP | GA4 当日のセッション・流入元を直接見る |
| SEO・順位 | 実際に検索して確かめる 順位が落ちていないか、表示が変わっていないかは自分で検索するのが早い |
集計を待たない。対象ごとに、数字が最初に出る場所を知っておく。どこを見ればいいか分からない状態が、一番時間を失う。
第 五 章 · 事 例
固定の時間はない。この事例は半日だが、対象が変わればタイミングも変わる。
第 六 章 — 最 も 重 要
前提がずれたまま進むと、以降のすべてがずれる
第五章との違い — 五章が「どう回すか」なら、この章は「なぜその順番なのか」。手順を覚えても、ここがずれていると全部ずれる。
第 六 章 · 位 置 づ け
目的がずれると、因数分解も比較もPDCAも全部ずれる。
目的=四段に入る前の前提 / 因数分解=一・データを確認する / 比較=二・問題点を探す / PDCA=三・解決策から四・実装、そしてまた一へ
六 の 一 · 目 的
なんでそれをやるのか
達成したときに見えるゴールは何なのか
業務に入る前の最低条件。業務をするなら、この二つを考える。考えずに手を動かしている状態は、業務をしているとは言わない。
六 の 一 · 例
検索から就活生を集めるため。記事がないと検索に出ないので、集客の入口が作れない。
記事に来た就活生が広告をクリックし、LPで登録する。その個人情報にDMが電話し、サービスを利用してもらう。最終的にはその学生が入社を決めて、企業が成功報酬を払い、事業が続く。
記事を書くこと自体はゴールではない。記事は登録につながる入口で、登録は売上につながっている。
六 の 二 · P D C A
改善場所を固定しない。毎回同じ場所を直すのではない。
一度に一つだけ打つ。複数変えると、どれが効いたか判定できない。
第 六 章 · ま と め
これが自分の担当業務に対してできれば、この研修の目的は達成される。
第 六 章 · 例 外
常にこれをやると、何も分からないまま打ち続けることになる。通常はPDCA。ペースが間に合っていないと数字で判断できたときだけ、全部やるに切り替える。
二 回 分 の 総 ま と め
この三枚に書いてあることが、全七章の中身。分からなくなったらここに戻る。
ま と め · 一
目的を決める。なんでそれをやるのか。達成したときに見えるゴールは何なのか。ここがずれると、以降のすべてがずれる。
不定期業務(依頼対応・突発対応・保守など)は発生タイミングを自分で決められない。割り込みが入る前提で時間を空けておく。
ま と め · 二
| 区切る | 計測できる最大の母数から目標数字まで、数字が取れる場所で区切る。 細かく分けるほど良いのではない。数字が取れない段階を入れると、そこで分析が止まる |
| 横に比べる | 全区間を並べ、過去や目標との差から問題のある区間を探す。 ただし母数も一緒に見る。母数・増やせる登録数・改善の手間も見る |
| 縦に比べる | 同じ区間を前後で比べて、効いたかを判定する。 比べる条件をそろえる(曜日・季節・キャンペーンの有無)。条件がずれた比較は使えない |
| 間違えない | 率と実数を両方見る。元データが正しいかを先に確認する。 率の上昇だけで全体の成功としない。登録数と流入減の理由を確認し、施策の効果は分けて判断する |
次の段階の数 ÷ 前の段階の数。同じ集計単位でそろえる。横だけでは打った後の判定ができない。縦だけではどこに打つか決められない。両方いる。
ま と め · 三
| 一つだけ | 一度に打つのは一つだけ。改善場所は固定しない。 複数同時に打つと、数字が動いても何が効いたか特定できず、次に再現できない |
| 判定する | 打ったら必ず判定する。効いていれば残し、効かなければ別の仮説を試す。 判定のタイミングに固定の時間はない。対象が変わればタイミングも変わる |
| 集計を待たない | 日中は数字が見えない時間がある。対象ごとに一次ソースを直接見る。 通知(トークノート)/ 広告は管理画面 / サイト・LPはGA4 / 順位は実際に検索する |
| 例外 | ペースが間に合っていないときは、考えられることを全部やる。 何が効いたかは分からなくなるが、今の結果を優先する。切り替えは感覚ではなく数字で判断する |
目的を決める → 数字が取れる場所で分解する → 過去・目標と比べて改善対象を選ぶ → そこに一つだけ打つ → 前後で比べて判定する。これが自分の担当業務に対してできれば、この研修の目的は達成される。
第 七 章
他部門とのやり取りで詰まらないようにする
七 の 一 · 学 生 側 の 段 階
| 組数 | 面談などの予定を組んだ数 |
| 済数 | 組んだうち、実施が済んだ数 |
| アテンド数 | 学生を企業へ案内・紹介した数 |
| 承諾数 | 内定を承諾した数 |
| 入社数 | 実際に入社した数 |
予定を組んでも実施されなければ済数にならない。この二つの間にも歩留まりがある。どの数字を目標に置くかで、分解する歩留まりも変わる。
七 の 二 · マ ー ケ の 数 値
| PV / UU | 表示回数 / 訪問者数 |
| Imp | 広告の表示回数 |
| 結果 | 媒体側のCV数 |
| 歩留まり | 次の段階 ÷ 前の段階 |
| CTR | クリック率 |
| CPA | 1件獲得あたりの費用 |
Friend Through Rate
= LINE友だち追加率
一般的な指標名ではない。CTRは社外でも通じるが、FTRは通じない。
社外では「LINEの友だち追加率」と言い換える。
その他: LP / インスタントフォーム / CMS / SERP / Search Console / BI / 診断コンテンツ — 詳細は配布資料
宿 題
| 5-1 | 毎日やること四項目とそのつながり |
| 5-2 | 「他部門からの依頼対応」が不定期な理由 |
| 6-1 | 自分の担当業務すべてについて、目的二問に答える |
| 6-2 | 計測できない段階を分解に入れるべきか |
| 6-3 | 横の比較と縦の比較は何を決めるために使うか |
| 6-4 | PDCAで一度に一つだけ打つ理由 |
| 7-1 7-2 | 組数と済数の違い / FTRを社外で使うとどうなるか |
自分の担当業務を全部並べて、なんでやるのか・達成したら何が見えるのかに答える。答えられない業務があれば、そこが最初に埋める箇所になる。
次 の ス テ ッ プ
各業務の具体的な手順 — この資料には入っていない。別途、業務手順書として作る。
未確定事項 — 配布資料の付録に一覧がある。分からないことが出たらそこを確認する。
実データ演習(6-5) — データが揃った時点で別途実施する。